
こんにちは!
中国輸入代行「誠」のパンダの社長こと酒井(@makoto1688)です^^
今回は、こちらのご質問にお答えします。
▼中国OEMに関するtweet▼
アリエクの商品レビュー。気をつけないといけないのは、評価者は日本人だけではないこと。中国からは購入できませんが、ロシアを中心に、欧米・中東・アジアからも購入できます。各国価値観が違いますし、評価がよくても日本人的には「×」なこともあります。日本人の基準もさまざまですが
— パンダの社長(酒井隆太)@中国輸入代行-誠 (@makoto1688) July 4, 2025
アリエクの商品レビュー。気をつけないといけないのは、評価者は日本人だけではないこと。中国からは購入できませんが、ロシアを中心に、欧米・中東・アジアからも購入できます。各国価値観が違いますし、評価がよくても日本人的には「×」なこともあります。日本人の基準もさまざまですが。
この記事は、長年、中国OEM代行を営むパンダの社長が書いています。
中国でOEM製造をはじめるときに、気をつけたいのが「商標侵害」です。知らずに他人の商標を使ってしまうと、日本でも中国でもトラブルになることがあります。今回は、初心者でも理解しやすいように、商標の基本から防止策までをまとめました!
それでは、見ていきましょう。
商標の重要性
商標は、自分の商品やブランドを守るための大切な権利です。
逆に、他人の商標を侵害すると販売停止や損害賠償につながる危険もあります。
OEMでは製造段階から商標の扱いを意識することが欠かせません。
詳しくみていきましょう。
商標とは?
商標とは、商品やサービスをほかと区別するための名前やマーク、ロゴなどのことです。
たとえば「NIKE」のロゴや、飲料の「コカ・コーラ」の文字デザインも商標です。
商標は国ごとに登録され、その国の法律で保護されます。
登録された商標は、権利者が独占的に使えるため、他人は許可なく使用できません。
つまり、自分の商品名やロゴを守るための“盾”であり、同時に他人の権利を侵害しないための“ルール”でもあります。
OEMで商標侵害が起こる原因
OEMでは、工場がすでに持っているデザインやロゴを使ったり、サンプルを参考にしたりすることがあります。
このとき、そのデザインや名前が既に他人の商標として登録されている場合、知らないうちに侵害してしまうのです。
また、中国の工場が「問題ない」と言っても、日本や他国では商標権が存在するケースもあります。
つまり「知らなかった」では済まないのが商標侵害の怖いところです。
事前に商標を調べる方法
商標侵害を防ぐには、製品名やロゴを使う前に商標検索をおこなうことが大切です。
日本では「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」、中国では「中国商標網」などの公式サイトで調べられます。
検索は自分でもできますが、不安があれば専門の弁理士や商標調査サービスを利用すると安心です。
特に、似た名前やロゴが登録されていないかまで確認するのがポイントです。
自分の商標を登録するメリット
OEMで長く販売する商品なら、自分の商標を登録しておくことをおすすめします。
商標を登録すれば、他人が同じ名前やロゴを勝手に使うのを防げます。
また、商標登録は中国と日本の両方で行うことで、現地生産時のリスクも減らせます。
早めに登録しておくことで、模倣品対策にもなります。
中国OEMで実際に起きた商標侵害の判例
商標侵害は「自分には関係ない」と思っていても、OEMビジネスでは意外と身近に起きています。
ここでは、中国OEMで実際にあった事例を5つ紹介し、なぜ問題になったのかを初心者向けにわかりやすく解説します。
詳しくみていきましょう。
PRETUL事件(亜環事件)
PRETULという工具ブランドの製品を、中国の工場が外国企業の依頼で製造しました。
この製品はすべて輸出用で、中国国内では販売されませんでした。
依頼した外国企業は輸出先の国で商標権を持っていました。
中国の最高裁は、この場合は中国国内で商標を使ったことにならないと判断しました。
つまり、輸出専用で正しい権利者からの依頼なら、侵害にはならないという結論です。
ただし、これはあくまで「商標権の確認をしっかりしている」ことが前提です。
- 事件番号:(2014) 民提字第38号
- 判決日:2015年11月26日
中国国内では商標とっていなかったことから、工場が使用し販売。中国の裁判所は問題なしとした判例です。
DONG FENG事件(東風事件)
中国の自動車部品メーカーが、海外企業の依頼で商標付き部品をOEM製造しました。
依頼企業は輸出先国で商標権を持っていました。
最高裁はPRETUL事件の基準を認めつつ、製造側には「本当に商標権があるのか確認する義務」があると判断しました。
つまり、依頼があっても商標の権利関係を調べないと、安全とはいえません。
工場が調べずに作った場合は、侵害の責任を問われる可能性があります。
この判例はOEM製造側の注意義務を明確にした点が重要です。
OEMを依頼する側も、工場がきちんと確認してくれているか注意が必要です。
- 事件番号:(2016) 最高法民再第339号(再審事件)
- 判決時期:2017年12月ごろ
PRETUL事件と同じ理由で、中国の裁判所は問題なしとした判例です。
HONDA事件(本田事件)
中国の工場が「HONDAKIT」というロゴを付けたバイク部品を製造しました。
見た目や名前がホンダの商標「HONDA」に非常に似ていました。
この製品は輸出用でしたが、中国国内の人もネットや展示会などで見る可能性がありました。
最高裁は、消費者が誤解する恐れがあるとして商標侵害を認定しました。
PRETULやDONG FENGのような「輸出専用ならOK」という考えは通用しませんでした。
似ているだけでも侵害になる場合があることを示した重要な事例です。
OEMでもロゴや名前の類似性には特に注意が必要です。
- 事件番号:(2019) 最高法民再138号
- 判決時期:2019年9月ごろ
HONDAやエルメスやNIKEなど、世界的な有名ブランドは生産国で商標を取得していなくても商標権を認められる判例です。
PEAK事件(上海知識産権法院裁判)
中国ブランド「PEAK」に似た「PEAK SEASON」というラベルを付けたスニーカーが問題になりました。
このスニーカーは海外販売用にOEM製造されました。
しかし、ネットショップ経由で中国国内の消費者も商品ページを見ることができました。
裁判所は、これは中国国内で商標を使ったのと同じだと判断しました。
つまり、インターネット経由で国内からアクセスできるだけでも商標侵害とされる可能性があります。
この判例は、オンライン販売の時代に特有のリスクを示しています。
OEM製造でも、ネット上での露出を考えて商標を確認する必要があります。
- 事件番号:(2016) 沪73终37号(終審判決)
HONDAほど認知されていなくても、中国国内で多く認知されているブランドは、中国では侵害判決になる事例です。
商標侵害を防ぐには?対策を解説
中国OEMは魅力的ですが、商標トラブルのリスクがあります。
ここでは、初心者でもすぐ実践できる商標侵害の防止策を7つ紹介します。
紹介はしていますが、経験がなければ弁理士に相談することが最もをリスクを回避できますよ!無料で相談したい場合は、各都道府県にある知財総合支援窓口または商工会へ相談することですよ!
詳しくみていきましょう。
《対策①》製品名やロゴを決める前に商標検索をする
商品名やロゴを決めるときは、まず商標検索サイトで調べることが大切です。
日本では「J-PlatPat」、中国では「中国商標網」などで無料検索が可能です。
似た名前やデザインが登録されていないかもチェックしましょう。
検索だけで不安なら、専門家に依頼して調査してもらうのもおすすめです。
これだけで多くのトラブルを未然に防げます。
《対策②》中国と日本の両方で商標登録をする
販売予定が日本だけでも、中国でOEM製造するなら中国でも商標登録しておくと安心です。
なぜなら、中国では「商標の先取り」がよくあるからです。
現地で商標を取られてしまうと、製造や輸出ができなくなる可能性もあります。
登録には時間がかかるので、製造スタート前に申請を進めておきましょう。
早めの登録がブランドを守る第一歩です。
《対策③》 契約書に商標使用ルールを明記する
OEM契約書には、商標やロゴの使用方法を必ず書き込みましょう。
「無断で別ブランドの商標を使わない」などの禁止事項をはっきりさせます。
書面で残すことで、万一トラブルになったときに証拠になります。
工場側の認識不足や勝手な判断を防ぐ効果もあります。
契約書は翻訳版も作っておくとさらに安心です。
《対策④》デザインやサンプルの出所を確認する
工場から提案されたデザインやサンプル品の出所は必ず確認しましょう。
他社製品をそのまま流用している可能性もあります。
知らずに使えば、依頼者側も侵害の責任を負うことになります。
オリジナルデザインを依頼する場合も、著作権や商標に触れないか事前に確認します。
確認作業を怠らないことで、不要なリスクを減らせます。
《対策⑤》類似デザインやキャラクターにも注意する
有名キャラクターやブランドに似たデザインは避けましょう。
商標だけでなく著作権侵害の可能性もあります。
「ちょっと似ているだけ」でも訴えられるケースはあります。
特にキャラクターやスポーツチームのロゴは権利が厳しく管理されています。
オリジナリティのあるデザインを使うことが安全策です。
《対策⑥》製造前のサンプルチェックを徹底する
製造前に完成品サンプルを取り寄せて、ロゴやデザインを細かく確認しましょう。
製造途中で勝手に変更されるケースもあるからです。
商標やデザインの部分は写真で記録を残しておくと安心です。
不安があれば製造を止めて修正を依頼します。
早い段階で気づけば、大きな損失を防げます。
《対策⑦》輸出国の商標事情も調べておく
中国からの輸出先の国でも商標権を確認しましょう。
輸出先で商標侵害になると、現地で販売できなくなります。
場合によっては現地税関で荷物が差し止められることもあります。
商標は国ごとに権利が独立しているため、日本と中国だけ確認しても不十分です。
販売予定国の商標情報まで調べておくことが、長期的なビジネスの安定につながります。
まとめ
- 中国OEMでは、商標侵害は「知らなかった」では済まされません。
- 製造前に商標検索をおこない、日本と中国の両方で権利状況を確認することが大切です。
- 契約書で商標使用ルールを明確にし、サンプルやデザインのチェックも欠かさないようにしましょう。
- また、輸出先の国の商標事情も事前に調べておくことで、販売停止や損害賠償といったリスクを減らせます。
- 小さな確認の積み重ねが、大きなトラブル回避につながります。