
こんにちは!
中国輸入代行「誠」のパンダ社長こと酒井(@makoto1688)です^^
今回は、このような疑問にお答えします。
▼中国輸入での関税に関するtweet▼
中国から輸入したすべての荷物に関税がかかわるわけではないですよ。個人輸入の場合、一度に発送する荷物内の商品代が16,666円以内であれば「免税」です。個人輸入か商用輸入かの判断は、日本税関が行います。ちなみに、先日のRCEPの発効により、段階的に91%の品目が「免税」になる見通しです😌
— パンダ社長@中国輸入代行「誠」×NFT×米国株 (@makoto1688) January 6, 2022
中国から輸入したすべての荷物に関税がかかわるわけではないですよ。個人輸入の場合、一度に発送する荷物内の商品代が16,666円以内であれば「免税」です。個人輸入か商用輸入かの判断は、日本税関が行います。ちなみに、先日のRCEPの発効により、段階的に91%の品目が「免税」になる見通しです😌
この記事は、長年、貿易業を営んでいるパンダ社長が書いています。
▼この記事でわかること▼
- 中国輸入での関税を免税にする方法
- 個人輸入と商用輸入の違いと税率
- 中国輸入は商用輸入として税率が決まる
- 課税価格が20万円以下の場合は、簡易税率が適用される
- 課税価格が20万円を越える場合は、実行税率が適用される
- 中国輸入で関税を支払う方法
- 中国輸入でなくともアンダーバリュー表記は犯罪
- 2022年1月1日のRCEPの発効により、段階的に91%の品目で免税になる
さっそく見ていきましょう。
中国輸入での関税を免税にする方法
いきなり、悲報です。ごめんなさい。
中国輸入で、関税を免税にする方法はありません!
正しくは、一定の条件を満たすと、関税が免税になるケースあるということです。
条件は次の2つのいづれかです。
- 個人輸入において、商品代金が16,666円未満の場合
- 個人輸入または商用輸入において、2022年1月1日発効のRCEPが適用となった品目
詳しくみていきます。
個人輸入において、商品代金が16,666円未満の場合
関税の免税については、日本税関のホームぺージに次のように明記されています。
大事な部分を、赤の太線にします。
課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます。
ただし、消費税以外のその他の内国消費税(例えば、酒税、たばこ税等)が課せられる場合は、それらの税は免税の適用がありません。
なお、課税価格の合計額が1万円以下の物品であっても、我が国の産業に対する影響その他の事情を勘案して、特に定められた物品については、免税適用になりませんので留意して下さい。
また、「関税を免税しない物品」として特に定められた物品であっても、税関において個人的使用に供されると認められる贈与品であって、課税価格が1万円以下の場合は免税となるものもあります。「課税価格の合計額が1万円以下の物品」の判断は、次の基準により行われます。
(1)1申告に係る輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの
ただし、1インボイスに係る貨物を分割して申告した場合には、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格を合計したものになります。
(2)郵便物については、1つの包装に梱包された輸入貨物の課税価格の合計額が1万円以下のもの
ただし、同一差出人から同一名宛人に、同一時期に分散して郵送されたもの等(例えば、郵便物の重量制限により分割して郵送されたもの)は、当該分割されたすべての郵便物の課税価格を合計したものになります。(参考)「関税を免税しない物品」として定められている物品の主なもの
革製のカバン、ハンドバッグ、手袋等、編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、スキー靴、革靴及び本底が革製の履物類等(関税定率法第14条第18号、関税定率法施行令第16条の3、関税定率法基本通達14-21、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第13条第1項第1号)
▼補足.1:免税にならないケース▼
たとえば、invoice10通に課税価格9千円ずつにわけて発送すれば免税になる。というわけではありません。同じタイミングで10個の貨物(輸出元が同じ情報で発送先も同じ情報)が届いた場合、10通まとめて9万円の通関書類として関税を算出します。また、EMSをはじめとする郵便物(小型包装物)は、商品1点ずつではなく1梱包の中に入っている商品の合計金額に対し、判断することになります。1点が1千円であっても、1梱包の中に20個(=20千円)分の商品が入っていれば、免税の対象にはなりません。
▼補足.2:免税にならない品目▼
- 革製カバン
- ハンドバッグ
- Tシャツやセーターなどの編み物 ※ 織り物は免税
- 革靴
個人輸入または商用輸入において、2022年1月1日発効のRCEPが適用となった品目
2022年1月1日にRCEP(アールセップ)が発効されました。
RCEPとは、地域的な包括的経済連携協定の略です。
具体的には、ASEANと東アジアの国が連携協力することで、関税を撤廃する動きがあります。
参考:中国輸入ビジネスで関税が撤廃される話【2022年の抱負と方向性】
参考:税関ホームぺージ > 地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に関する資料
中国輸入は商用輸入として税率が決まる
個人輸入か商用輸入かによって、税率が決まります。
個人輸入と商用輸入の違いと関税率はつぎの通りです。
個人輸入の定義と関税率
個人輸入の定義について、税関ホームぺージを引用します。
大事な部分を、赤の太線にします。
個人輸入について法令上に定義はありません。一般的には「外国の製品を個人で使用することを目的として、海外の通信販売会社、小売店、メーカーなどから、個人が直接購入すること」といわれています。
個人輸入の形態としては、
輸入者自身が購入したい品物を直接、外国の通信販売会社、小売店、メーカーなどに注文して、そこから直接購入する方法、輸入代行業者に注文して、その代行業者を通じて輸入する方法などがあります。また、海外からの輸送方法については、
国際郵便を利用する方法
国際宅配便を利用する方法
一般貨物として、船便又は航空便を利用する方法
などがあります。いずれにしても、個人輸入は海外との直接取引きですから、サイズ違い、破損等のトラブルは、自力で処理しなければならないという、リスクを負うことも知っておく必要があります。
また、日本に輸入が禁止されている物や、輸入が規制されている物がありますので、十分に注意して下さい。なお、貨物・手続きの流れは、「個人輸入通関手続のご案内」のパンフレットに掲載しています。
▼個人輸入の関税率▼
商品代金の60%×関税率(簡易税率または実行関税率)
商用輸入の定義と関税率
個人輸入以外が、商用輸入です。
個人で利用する目的でなく、第三者へ販売する目的で輸入する場合は商用輸入が範囲です。
つまり、中国輸入ビジネスは「商用輸入」です。
▼商用輸入の関税率▼
商品代金の60%×関税率(簡易税率または実行関税率)
課税価格が20万円以下の場合は、簡易税率が適用
簡易税率については、日本税関のホームぺージに次のように明記されています。
大事な部分を、赤の太線にします。
(総額20万円以下の場合)
海外から商品を輸入する場合、個人使用の品物または贈り物であっても、原則としてその商品に対して関税が課されることとなりますが、一般貨物または郵便小包を利用した場合で、課税価格の合計額が20万円以下の場合には、一般の関税率とは別に定められた簡易税率が適用されます。一般の関税率を適用する場合、数千もの品目分類の中から税率を適用することになりますが、この簡易税率を適用する場合、その品目分類を大別した7区分において税率を確定します。ただし、この簡易税率は、携帯品及び別送品、関税が無税または免税になるもの、わが国の産業への影響を考慮し簡易税率を適用することが適当でないとされている物品には適用されません。
また、輸入者が、これら輸入貨物の全部について一般の関税率の適用を希望した場合には、一般の関税率を適用します。(実行関税率表)
次に、中国輸入ビジネスでよく取扱いがある品目を例に、簡易税率について見ていきましょう。
第4区分(食品・アパレル製品)の関税率は10%
第4区分では、アパレル系の品目が簡易税率10%の対象です。
黄色の網掛けの品目は、中国輸入ビジネスでよく取扱いがある品目です。
たとえば、(13)メリヤス編物及びクロセ編物の代表として、「女性向けのドレス」(HSコード: 6104.43-010)が上げられます。
税関のホームページ > 事前教示回答事例で、税番の欄へ上記HSコードをコピーして検索すると、関税率が、「基本16.8% 、 協定10.9% 、 特特Free」ということがわかります。
課税価格20万円以上の実行税率で申告する場合(=輸入する場合)はWTO協定税率の10.9%が適用されますから、簡易税率が適用されると0.9%安い関税率で通関できます。
第5区分(植物・工業生産品・金属・生活日用品)の関税率は3%
第5区分では、日用品の品目が簡易税率3%の対象です。
黄色の網掛けの品目が、中国輸入ビジネスでよく取扱いがある品目です。
たとえば、工具の代表として、「工具を収納するプラスチックケース」(HSコード: 3926.90-029)が上げられます。
税関のホームページ > 事前教示回答事例で、税番の欄へ上記HSコードをコピーして検索すると、関税率は、「 基本5.8% 、 協定3.9% 、 特恵Free」ということがわかります。
課税価格20万円以上で申告する場合(=輸入する場合)はWTO協定税率の3.9%が適用されますから、簡易税率が適用されると0.9%安い関税率で通関できます。
中国輸入で関税を支払う4つの方法
では、発生した関税はどのように支払えばよいのでしょうか。
関税の支払い方法は次の3つです。
- 着払い
- クレジットカード払い
- NACCSによるリアルタイム口座による口座引落
- 代行業者による立替払い
着払い
個人輸入であれば、着払いのケースがほとんどです。
荷物が自宅に届くと、運送業者の配達員に関税を直接支払う方法です。
日本国内間で発送するときの着払いと全く同じです。
クレジットカード払い
DHLやFedEx利用の場合、クレジットカード決済ができます。
ただし、中国輸入では、なかなかDHLやFedExを利用する機会がないかもしれません。
代行業者が契約している日本向けキャリアは、佐川急便、ヤマト運輸、OCS、EMSです。
NACCSによるリアルタイム口座による口座引落
税関とリンクしたNACCSというシステムがあります。
NACCSは、法人のみ利用できるサービスで、登録しておくと輸入許可通知書がダウンロードできたり、関税の口座引落ができます。
NACCSを利用することで、通関スピードが速くなり、着払いの手間が省けます。
輸入ビジネスをやっている法人は、必ず利用しているサービスです。
参考:中国輸入の関税をNACCSのリアルタイム口座で引落する方法【通関が早い】
代行業者による立替払い
代行業者や中国側のパートナーによる立替払いもできます。
ただし、日本で直で支払うよりも若干高めです。
なぜなら、為替レートによる影響と立替手数料が生じるからです。
▼関税額が代行業者へ届くまでの流れ▼
日本税関 → 中国税関 → 中国運送業者 → 代行業者
日本税関が中国税関へ関税を伝えるときに、円が元に変わります。
中国運送業者が手数料を乗せる場合があります。
中国輸入でなくともアンダーバリュー表記は犯罪です
アンダーバリューとは、購入した商品代金より安い金額をinvoiceに記載して申告する行為です。
税関は、invoiceに記載の申告金額から関税を算出します。
つまり、本当の商品代より安い商品代を記載することで、関税が下げることができます。
参考:中国輸入でのFBA直納は要注意【通関業者とのやり取りを全公開しました】
参考:【サクサク通関】中国輸入でのFBA直送に必要な書類【注意点も解説】
アンダーバリューは実刑です
アンダーバリューで申告し、アンダーバリューということが特定されると次のいづれかの法定刑になります。
どの判決になるかは、裁判所で決まります。
アンダーバリューは、本当に止めた方が身のためです。
安い商品代を記載することで、関税が下げることができます。
名称 | 犯罪行為の内容及び法定刑 | 備考 |
関税ほ脱犯 | 偽りその他不正の行為により関税を免れる行為等(関税法第110条) 【10年以下の懲役若しくは1,000万円(*)以下の罰金又は併科】 * ほ脱額等の10倍が1,000万円を超える場合は、情状により、ほ脱額等の10倍以下 |
未遂も同罪(予備は5年・500万円(*)) * ほ脱額等の10倍が500万円を超える場合は、情状により、ほ脱額等の10倍以下 |
用途外使用犯 | 減免税・軽減税率適用貨物を用途外使用する行為(関税法第112条の2、暫定法第16条) 【1年以下の懲役又は200万円以下の罰金】 |
|
虚偽書類提出等犯 (各種手続違反) |
偽った入出港関係書類を提出する行為 等 【1年以下の懲役又は50万円以下の罰金】 (関税法第114条、第114条の2、暫定法第17条) 保税地域に係る記帳義務を怠った行為 等 【1年以下の懲役又は30万円以下の罰金】(関税法第115条、第115条の2) |
アンダーバリューの事例
最後に、アンダーバリューの事例を1つ紹介します。
- サンプル見本扱いにする
▼ サンプル見本扱いにする ▼
サンプルには関税がかかりません。免税です。
サンプルではないのにサンプルと偽れば免税にできます。
注文取り集めのための見本で、見本用にのみ適するもの、または著しく価額の低いか、輸入後に、無償で配布されることが明らかである ものについては関税の免除を受けることができます(関税定率法第14条第6号)。
結論:中国輸入での関税は免税にできるけれど、条件がある
まとめます。
- 個人輸入で、商品代金が16,666円未満なら免税です。
- 2022年1月1日のRCEPの発効により、段階的に91%の品目で免税になる予定です。
- 個人輸入と商用輸入の税率は違う。具体的には、商品代金の範囲が違う。
- 課税価格が20万円以下の場合は、簡易税率が適用される。
- 課税価格が20万円を越える場合は、実行税率が適用される。
- 中国輸入で関税を支払う方法は、「着払い」「NACCSによるリアルタイム口座引落」「代行業者による立替」
- アンダーバリュー表記は犯罪です。実刑もある。
本日もお読みいただき、ありがとうございました^^