中国の正規輸出業者を見極める方法|対外貿易権を取得していますか?

こんにちは!

中国輸入代行「誠」のパンダ社長こと酒井(@makoto1688)です^^

 

パンダ娘
ふと思ったのですが、中国の代行業者は免許や認可があるのですか?輸出や輸入をするのは自由だと思うのですが、ビジネスとして、貿易を仲介しているので何か認可手続きが必要なのではないかと思いました。調べても中国のことはよくわからなかったですし、もし認可制なら正規に認可されている代行へお願いしたいと思いました。

 

このような疑問にお答えします。

 

中国での対外貿易権に関するtweet

中国で、貿易事業を営むには、「対外貿易権=輸出入権」という権利を取得する必要がありますよ。外国人に限らず、中国で貿易事業をおこなう中国の法人企業や個人に義務付けられています。先日、個人で代行業を営んでいる知り合いの中国人に尋ねたところ、持っていないということでした…

この記事は、長年、貿易業を営むパンダ社長が書いています。

 

パンダ社長
「対外貿易権」を持たずに貿易事業をおこなうと、当局より厳罰を受けることになります。また、「代行業者やエージェントだから大丈夫であろう」という考えは危険です。もし、「対外貿易権」を持っていない企業や個人と取引をした場合、有事の際は取引をしたあなたにもリスクが生じますよ。

 

それでは見ていきましょう。

 

中国における対外貿易権と手続きの流れ

中国には、海外企業との取引に制限があります。

中国当局は、信用度が高い中国国内の企業に対し、海外企業と取引できる権利(=対外貿易権=輸出入権)を与えています。

もし、取引先の中国の企業が「対外貿易権」を持っていない場合、その企業は「対外貿易権」を持っている中国企業を通じて、外国の企業や個人と取引することになります。

2001年に中国がWHOに加盟したことで、2004年にそれまでの登録制から申請制に変更されたため、現在は申請をすることで企業でも個人でも「対外貿易権(=輸出入権)」を取得できるようになっています。

 

対外貿易権の取得要件
  • 外為免許の取得
  • 通関士の在籍有無
  • 年商が3年で5億円以上

 

対外貿易権の取得に必要な資料
  • 登録表のコピー(署名、捺印済み)
  • 営業許可証のコピー
  • 外資系企業の場合、外商投資企業批准許可書のコピー
  • 財産証明書

 

上記資料を、中国の所在の商務部または商務部が委託する機関へ登記申請することで取得できます。

詳しい手続きの手順は、JETROのホームページを参考にしてみてくださいね。

パンダ社長
「対外貿易権」の取得が完了した後は、所轄の税関に出向いて「税関登記=CRコード取得」など貿易に必要な手続きを行います。

    登録表:中華人民共和国の商務部のホームページよりダウンロード

     

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    対外貿易権を取得していない企業との取引リスク

    もし、対外貿易権を取得していない中国企業(個人や代行業者、エージェント)と取引をしてトラブルが生じた場合、注意が必要です。

    「対外貿易権を持っていない」ということは、「輸出入取引をしてはいけない」ということです。

    つまり、契約が成立していない状況で取引をしていることになります。

     

    国際貿易のリスクの例
    • 送金したが逃げられた
    • 商品が届かない
    • 注文した商品と異なる商品が届いた
    • クレームしたけれど補填なかった

     

    日本は、不当利得返還請求権があるため、お金は返ってくる可能性もあるかもしれません。

    しかし、外国企業相手に裁判に要する時間やお金、精神的な部分を考えると、取引前には「対外貿易権」の有無について確認されることをオススメします。

     

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    対外貿易権を取得していない企業と取引する方法

    対外貿易権を取得していないからといって貿易ができないわけではありません。

    具体的には、次の方法です。

    ちょっと難しいかもしれません。読み飛ばしていただいても問題ありません。

     

    対外貿易権を取得している中国企業(たとえば、エージェントや代行業者、貿易代理店)と取得していない中国企業(たとえば、メーカーや工場)が委託(委任)契約を結び、取得している側の中国企業の名義で通関を行います。

    その際、B/L(船荷証券)の書類上の輸出者(shipper)の欄に、対外貿易権を取得していない中国企業の名義を記載することができます。

    対外貿易権の有無にかかわらず、輸入者が必要な輸出者情報でshipper欄に記載することができるのですね。

     

    そして、中国の税関に提出する書類には、対外貿易権を取得している中国企業の名義で申告をすればいいわけです。

    対外貿易権を取得していない代行業者もあると思います。

     

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    対外貿易権を取得している工場が中国に少ない理由

    「対外貿易権」は、申請すれば個人でも取得できます。

    それでは、なぜ外国企業と取引しているすべての「工場」や「メーカー」が「対外貿易権」を取得しているわけではないのでしょうか。

    「対外貿易権」を取得して、日本企業(または個人)と直接取引をすれば、間を挟まない分、「工場」や「メーカー」の利益を創出でき、日本側も挟まない分、原価を抑えられると考えるかもしれません。

     

    一方で、「対外貿易権」を取得できても、実際に貿易事業を行うとなりますと、「貿易法や国際貿易会計に関する知識」や「通関書類の作成などができる人材」が必要になります。

    これらのことを工場自身で教育する必要がありますから、結局のところはコストがかかりますし、知識を取得するにも時間を要します。

     

    そのため、「工場」や「メーカー」は、「対外貿易権」を取得している専門の中国企業(たとえば、エージェントや代行業者、貿易代理店)を通して、取引をする場合が多くなります。

     

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    結論:輸出業者選びでは、対外貿易権を取得している会社を選ぶべし!

    まとめます。

    • 中国における対外貿易権とは、中国当局が信用度が高い中国国内の企業に対し海外企業と取引できる権利を付与したもの。
    • 対外貿易権を取得していない企業との取引リスク
      ①送金したが逃げられた
      ②商品が届かない
      ③注文した商品と異なる商品が届いた
      ⓸クレームしたけれど補填なかった
    • 中国で対外貿易権を取得していない企業と取引する方法は、対外貿易権を取得している企業を挟む
    • 対外貿易権を取得している工場が少ない理由は、貿易に関する知識と教育への投資が嵩むため

     

    編集後記

    「対外貿易権」は中国国内の中国企業が貿易事業を行う際に必要な権利です。

    日本には、「対外貿易権」の精度はなく、諸外国と自由に取引することができます。

    中国と取引する際に、取引相手が「対外貿易権」を取得しているかどうかで、貴店の貿易リスクが変わるということを抑えておいてください。

     

    本日もお読みいただき、ありがとうございました^^

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