こんにちは!
中国輸入代行「誠」のパンダ社長こと酒井(@makoto1688)です^^
今回は、こちらのご質問にお答えします。
▼EMSに関するtweet▼
日本では、(といいますか、国際物流に精通していなければ)、「海外発送といえばEMS!」といった風潮がありますけれど、東南アジアや東アジアであれば、ヤマトや佐川の国際便の方が安くて、リードタイムもEMSよりもむしろ早いくらいなんですよね。近場ならEMSを利用するメリットってなんでしょう❓
— パンダの社長(酒井隆太)@中国輸入代行-誠 (@makoto1688) January 30, 2024
日本では、(といいますか、国際物流に精通していなければ)、「海外発送といえばEMS!」といった風潮がありますけれど、東南アジアや東アジアであれば、ヤマトや佐川の国際便の方が安くて、リードタイムもEMSよりもむしろ早いくらいなんですよね。近場ならEMSを利用するメリットってなんでしょう。
この記事は、長年、中国との貿易仲介業を営むパンダ社長が書いています。
それでは見ていきましょう。
(タップできる)もくじ
EMSの通関手続きとは?
中国から日本へEMS(国際スピード郵便)で発送した荷物は、日本の税関で通関します。
税関は適切な関税の徴収を目的として、荷物の内容を確認します。
これは個人輸入でも同様です。
荷物の配達状況を追跡したとき、「通関手続き中」と表示される場合ありますが、これは郵便物の到着処理や仕分け作業中、もしくは通関処理中の状態を表します。
そのほか、「税関から名宛人に照会中」「植物検疫中」などの表示が出ることもあります。
参考:EMS公式サイト
通常2~5日程度で発送
中国から日本へEMSを利用して荷物を手配すると、通関手続きがスムーズに進めば、発送から2〜5日程度で荷物が届きます。
日本には国際交換局が6か所あり、地域によってリードタイムが異なります。
なぜなら、国際交換局は土日祝も基本営業していますが、中には動いていない事業所もあり、時間がかかるためです。
週末と重なる場合は、通関手続きに必要な日数がさらに3日程度長くなります。
出典:ジェトロ「輸入貨物の到着から引き取りまでの手続き:日本」
EMSが通関手続き中のままである理由
EMSを利用した荷物の配達状況を追跡する際、ステータスが「通関手続き中」としてしばらく続くケースがあります。
発送されているのに、なかなか通関しないのはなぜでしょう。
考えられる7つの理由について解説します。
詳しく見ていきましょう。
輸入禁止品が紛れている
まず考えられるのは、関税の検査で輸入禁止品が紛れていないかを、再検査しているケースです。
「荷物に偽ブランド品や麻薬などの輸入禁止品が混ざっているのではないか」と疑われる場合は、次のように厳しくチェックします。
- X線をとおして検査する
- 荷物を開封して、中身を確認する
特に、個人輸入ですと慎重に検査する傾向があります。
そのため、法人輸入と比べて、輸入許可に時間がかかりやすいことを考慮しておきましょう。
明細書の内容にミスや漏れがあった
インボイスとは輸入する荷物の明細書で、通関手続きに必須な書類です。
内訳として、商品名・種類・数量・貿易条件・単価などが記載されています。
添付されたインボイスに記載ミスがあった場合は、輸出元の税関担当者(もしくは取引先)に訂正を求めましょう。
また、担当者の不在や時差の影響で、訂正承認に時間がかかります。
結果、通関手続きが完了するまで「通関手続き中」の表示が続きます。
祝日と重なっている
中国の祝日と重なっている場合も、「通関手続き中」の表示が長く続くでしょう。
中国では1年のうちに大型連休が何度かあります。
- 1~2月:春節(旧正月)
- 5月:労働節
- 10月:国慶節(建国記念日)
これらの期間は中国国内の工場や物流機能がほとんど止まり、併せて国際交換局も休みになります。
よって、連休の前後も含めて、通関の手続に時間がかかります。
日本国内にいると中国国内の祝日を見落としがちなため、注意しましょう。
繫忙期である
繁忙期と重なっているときも、通関に時間がかかる傾向があります。
1年のうちでもクリスマスやお正月は、家族や友人へのプレゼントやお歳暮などで、貨物が多くなります。
通関の業務が多くなり、人手不足に陥った場合は手続が滞り、「通関手続き中」の表示が続くでしょう。
チェックが厳しい
中国から輸入した貨物は、ほかの地域と比較してチェックが厳しく、審査完了に時間がかかる傾向があります。
なぜなら、中国からの貨物に輸入禁止品が紛れていることが多いためです。
財務省の発表(※)によると、令和5年上半期の輸入差止件数12,519件のうち、中国からの輸入品は9,797件で、全体の72.9%を占めています。
輸入禁止品には、不法なコピー用品だけでなく、健康を脅かすおそれのある電化製品も混ざっています。
電気製品を販売する際はPSE認証が必要ですが、中国の店舗の担当者がPSE認証を知らずに販売しているケースも多いでしょう。
出典:財務省「令和5年上半期の税関における知的財産侵害物品の差止状」
川崎東郵便局が対応している
EMSを利用して送られた荷物は、日本国内にある6か所の国際交換局で通関手続きがおこなわれます。
ただし、日本に届く国際郵便の9割は川崎東郵便局が扱っています。
そのため、1年をとおして荷物が多く、通関手続きが滞りやすいのです。
国際交換局には土日祝も休みなく稼働している事業所があるものの、川崎東郵便局は税関の営業時間が決められています。
税率の算出に時間を要している
海外から日本へ輸入される商品には、関税がかけられます。
これは国内の産業を守るために必要なものです。
一般貨物や郵便小包の場合、課税価格の合計が20万円以下ですと簡易税率が適用されます。
- 通常の関税率:数千の品目分類から税率を適用。
- 簡易税率:品目分類を大別した7区分で税率を適用。
税関はこのように細かく税率を精査しており、算出中は「通関手続き中」と表示されるのです。
EMSが通関手続き中のままの場合はどのようにすればよい?
「時期によっては、通関手続きにある程度時間がかかるのはやむを得ない」と理解していても、長期間「通関手続き中」から先に進まないのは気がかりです。
このようなときはどうすればよいのかについて、対処方法を紹介します。
管轄の国際交換局に問い合わせる
まずは、管轄の国際交換局に問い合わせることです。
国際郵便に関する「お客様サービス相談センター」へ連絡しましょう。
問い合わせの際はEMSの追跡番号が必要なため、あらかじめご用意ください。
「通関手続き中」の表示から変わらない原因を把握できるでしょう。
ただし、原因が分かったからといって、手続きを早めるよう促せないためご注意ください。
出典:日本郵政「国際郵便 電話でのお問い合わせ」
そのまま待つ
待機している場合、もし荷物の内容や必要書類に問題があれば、税関から通知が届きます。
「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」というはがきが税関より送付されます。
その際は、よく読んで必要書類を提出しましょう。
もしも荷物に模倣品や偽ブランド品が見つかったら、税関に没収されることも。
令和4年10月に改正商標法・意匠法・関税法が施行され、模倣品に対する取り締まりが強化されました。
たとえ個人使用が目的でも、模倣品と判断された場合は没収の対象です。
通知文書が届いた際は、内容に従って対処してください。
出典:経済産業省 特許庁「海外からの模倣品流入への規制強化について」
EMSで「通関手続き中」が続くときのよくある誤解
EMSの「通関手続中」ステータスが長引くとき、いくつかの注意点とよくある誤解があります。
まず、荷物が止まっている理由を焦って誤解しがちですが、必ずしも問題が発生しているわけではないことを理解しましょう。
通関手続きは国によって異なり、時間がかかる場合もあります。特に、税関が繁忙期や追加検査を行っているときは、手続きに遅れが生じることがあります。
また、税金や関税が発生する場合もあります。
これを知らないと通関の進行が遅れていると勘違いすることがありますが、税金が確定するまで荷物は動きません。
荷物の内容や金額によっては関税が適用されるので、これも遅延の一因です。
加えて、追跡システムの更新が遅れることがあるため、実際には荷物が動いているのにステータスが変わらない場合もあります。
このため、手続きを確認したり、税関に問い合わせる前に少し様子を見ておくのが賢明です。
最後に、関税の支払い通知が届くまでに時間がかかることもあるので、その通知を待つことも一つの選択肢です。
まとめ
EMSで中国から日本へ荷物を送ると、概ね2~5日で到着します。
しかし、6日が経過しても到着しないこともあり、追跡状況を確認すると「通関手続き中」となっていることもあります。
本記事では、通関手続き中の理由を7つ紹介しましたが、個々に状況が異なります。
そのため、追跡番号から管轄の国際交換局を確認し、直接尋ねてみるのが確実で早期解決に繋がります。
EMSで発送した荷物の到着が遅いなと感じたときには、管轄の国際交換局へ確認してみましょう。
ご質問、いつも歓迎です!
本日もお読みいただき、ありがとうございました^^