中国輸入ビジネスで黒字倒産する?赤字倒産の事例も交えながら解説

こんにちは!

中国輸入代行「誠」のパンダ社長こと酒井(@makoto1688)です^^

 

パンダ娘
パンダ社長のtwitterをフォローさせていただいています。わたしはこれから中国輸入をはじめようと思っていて、これまでに、黒字倒産に関するいくつかのtweetを読ませていただきました。赤字倒産のイメージは沸くのですが、黒字倒産と聞くとイマイチ理解できません...もしよろしければ、もう少し詳しく教えていただけませんか。ご検討よろしくお願いいたします。

 

今回はこちらの疑問にお答えします。

 

黒字倒産に関するtweet

年商1億円!といっても、赤字の会社もありますし、キャッシュが回らずに黒字倒産する会社もあります。経営とは、利益を創出し社会へ還元することですから、そういう意味で、「年商1億円」→「すごい!」は安易な認識ではないか。利益を出すこと、そして無理なくキャッシュを回すこと。これに尽きます。

この記事は、長年、中国との貿易仲介業を営むパンダ社長が書いています。

 

▼この記事でわかること▼

パンダ社長
個人であってもビジネスですから、倒産するリスクは常にあります。リスクを知らずに倒産した知人を知っています。。

 

それでは見ていきましょう。

 

黒字倒産とは

黒字倒産とは、黒字なのに倒産することですよ。おわり。

ふざけていますか?

いえいえ。ふざけていないですよ^^
今から詳しく説明しますね。

はい。よろしくお願いします。

 

黒字倒産とは

黒字倒産とは、「黒字」と「倒産」の2つの言葉で捉えると理解しやすいです。

「黒字」とは、事業において利益がプラスの状態のこと。

平たくいえば、売上からすべてのコストを引き算して、プラスであれば「黒字」、マイナスであれば「赤字」です。

 

一方、「倒産」とは、会社の現金が無くなること。

現金が無くなると、給料も払えませんし、銀行から借りた現金も払えなくなります。

「支払い能力がなくなること」=「現金(キャッシュ)がなくなること」=「倒産」です。

 

つまり、黒字倒産とは、

利益はプラスなのだけれど、キャッシュがなくなったときに起こる倒産のことです。

 

利益がプラスなのに、キャッシュがないとはどういう状況なのか。

さらに、詳しくみていきましょう。

 

黒字倒産となる原因

黒字倒産となる原因の1つに、「売上金の入金日」が「経費の支払日」よりも"遅い"ことが挙げられます。

たとえば、2/1に銀行から1万円を借り、返済日は2/28だったとします。

そして、1万円を元手に、商品を仕入れます。

 

無事、返済日の2/28までに商品が完売し、利益も予定通りプラスでした。

しかし、売上金の入金(たとえば、アマゾンから入金)は3/10でした。

2/28時点での手元の現金(=キャッシュ)は0円のため、銀行へ返済できませんでした。

 

利益はプラスなのだけれど、キャッシュがない。

黒字倒産です。

売上金の回収が早ければ早いほど、資金を回しやすい。ということですね。

 

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黒字倒産を防ぐ7つの方法

黒字倒産を防ぐための方法は、次の7つです。

他にもあるかもしれませんが、思い当たる方法を挙げてみます。

 

2020年のデータでは、倒産した約8000社のうち、約半数が黒字倒産だったようですよ。

 

1. キャッシュフローの管理をする

1つ目は、キャッシュフロー管理です。

キャッシュフローとは、現金の流れのことです。

財務三表の1つで、C/Fとも呼びます。

 

入ってくる現金と出ていく現金を時系列に並べたもので、入金と出金の日付がわかるので、残高がマイナスになるような日付があれば、倒産のフラグが立ちますし、それまでに対策もできます。

経営初心者ですと、利益は見ていますが、現金の流れのチェックとなると、どうなのでしょうか。

 

2. 余剰在庫を持たない

2つ目は、余剰在庫を持たないことです。

余剰在庫とは、適正在庫を越えた在庫のことです。

「売れる!」と思って仕入れたのはよいのだが、売れなかった。

 

結果、余剰在庫として倉庫に眠っている状態です。

もしくは、棚に陳列されている状態です。

 

物販では、現金(=キャッシュ)が在庫(=商品)に変わります。

在庫が売れると、現金になります。

ですから、在庫が売れないと現金が入ってきません。

 

現金が入ってこないと、資金が目減りしてきます。

結果、倒産します。

ネット物販ビジネスであれば、データで売れ数はある程度予測できるので、比較的容易に適正在庫数を把握することができますね。

 

3. 利益率を上げる(=売上原価を下げる)

3つ目は、利益率を上げることです。

商品リサーチをする際に、利益率を試算します。

このときの利益率を、より高い利益率に設定することで、会社全体の利益率が上がります。

 

もちろん、売れないと利益になりませんが、高粗利商材を扱う方が、売れたときの利益が多くなるため、キャッシュが回りやすくなります。

 

ただし、利益率の基準を高く設定すると、リサーチ時に条件を満たす商品の件数が少なくなります。

利益率を取るか売上を取るか。の絶妙なラインは経験でコントロールしていくしかありません。

高粗利商材でばんばん売れる商品が見つかれば万々歳ですけれど、そんなに簡単に見つかるわけでもありません。一方、情報商材やコンサルであれば粗利100%なので、コンサル×物販の相乗効果で、キャッシュを回しやすくなります。

 

4. 回収タームは短く、支払いタームは長く

4つ目は、回収タームは短く、支払いタームは長くです。

売上金の回収は、売れてすぐがベストです。

一方、経費などの支払いは出来る限り遅いのがよいです。

 

たとえば、ある経費が納品後2ヵ月後の支払いであれば、この2ヵ月の間に売上を作る(=キャッシュを増やす)ことができます。

一方、経費の支払いが即日ですと、現金を作る期間がなく、手元の現金で支払うことになります。

手元の現金の状況によっては「倒産」です。

取引先との取引条件交渉では、支払いサイクルも交渉の1つです。これを「延勘(のべかん)」と呼び、発注後、支払いは30日後や40日後といった契約をすることもあります。なお、中国輸入ビジネスでは、個人事業主と取引することが多く、法人であってもスターターのことも多いので、信頼の点でなかなか「延勘」交渉は難しいのではないか。と私は思います。そもそも貿易では、国をまたぐため回収リスクの点でも原則先払いではないでしょうか。

 

5. 銀行と仲良くする(追加融資、リスケ)

5つ目は、銀行と仲良くするです。

繰り返しになりますが、「倒産」とは、会社の現金が無くなることです。

ですから、「倒産」しないためには、現金を借りればよいのです。

 

現金は銀行で借ります。

 

また、すでに借入している場合は、銀行の担当者へリスケの相談も有効です。

リスケとは、支払いタームを長くしたり、一度の支払い額を減額したり、といった相談のことです。

融資は、個人事業主でも受けられます。オススメは、日本国が実質運営している日本政策金融公庫への相談です。創業融資も受けられますし、低金利です。相談だけでもいかがでしょうか。

 

6. M&Aを受ける

6つ目は、M&Aを受けることです。

M&Aとは、会社を買収したり合併することです。

「倒産」する前に、会社を買収してもらいます。

 

売れればキャッシュが入ってきますから、事業を継続することができます。

 

ただし、事業が継続できても、経営権や決済権を自身が持てるか、従業員は残せるか、などの交渉が必要で、会社は残っても中身は一掃となるM&Aもあります。

最終的には、あなた自身が会社をどうしたいのかおよび相手との交渉で決まります。

私の場合、前職の会社で、2社M&A(友好的な買収)をした経験があります。上司である当時の副社長の横で、勉強させていただきました。

 

7. 現金主義の心構え

最後に、現金主義の心構えです。

またまた繰り返しになりますが、「倒産」とは、会社の現金が無くなることです。

1つ目に上げたキャッシュフロー管理をはじめ、会社は現金がないと回りません。

 

「金(かね)、金(かね)」言うと、敬遠する人もいるかもしれませんが、社長が会社の現金の状況を正確に把握できていないことが「倒産」の原因でもあります。

 

黒字だから「倒産しない」というのは間違いですし、赤字だから「倒産する」というのも間違いです。

現金主義であることが、会社を存続させるための必要条件といってもよいかもしれません。

私は、365日毎朝、キャッシュフロー表を見ています。それでも心配です。。

 

赤字でも倒産しない

赤字と聞くと、倒産寸前?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、厳密には「赤字」=「倒産」ではありません。

繰り返しになりますが、「倒産」とは、会社の現金が無くなることです。

 

その年は、赤字であったとしても、現金があれば返済はできるので、倒産はしないのです。

ただし、赤字が続くと、現金がだんだん目減りしていきますから、倒産リスクは高くなります。

利益を上げつつ、入金と出金の管理を徹底すること。これも経営者の仕事の1つです。

 

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中国輸入での黒字倒産の例

より中国輸入ビジネスに特化して、黒字倒産の例を見ていきましょう。

黒字倒産は、OEMや単純転売などの有在庫での販売手法で起きることがあります。

はじめに、次のよくある例で見てみましょう。

 

損益計算書(P/L)の視点でみると

【仕入れ】
あなたは1個500円の商品を1000個仕入れたとします。
この場合、仕入額の合計は50万円です。

【売上と売上原価】
販売価格1つあたり800円で、仕入れた商品のうち600個が売れたとします。
この場合、売上高は48万円で売上原価は30万円(=500円×600個)です。

【利益】
利益は、18万円(=48万円-30万円)です。

上記は、損益計算書(P/L)の視点での例です。ポイントは、P/Lには、仕入累計額である50万円が記述されないことです。なぜなら、利益=売上-売上原価だからです。

 

 

キャッシュフロー表(C/L)の視点でみると

【入金】
売上金である48万円が入金されます。

【出金】
仕入れで使った50万円が出金されます。

【キャッシュフロー】
▲2万円(=48万円-50万円)

 

 

わかりますでしょうか。

利益は18万円のプラスなのだけれど、キャッシュフローが▲2万円です。

もし、この会社がこの時点で現金を全く持っていなければ、倒産リスクが極めて高くなります。

 

早期に、残りの在庫を値引きしたり、販売先を増やしたりするなどで、在庫を現金化する必要があります。

上記は、在庫過多によるキャッシュフローの悪化で起こる黒字倒産の例です。他にも、出店モールからの売上金の入金を待っている間に、経費の支払い期日がくるなども黒字倒産の例として挙げられます。

 

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無在庫なら黒字倒産しないのか

ここまで、有在庫販売での黒字倒産の事例を見てきました。

では、無在庫販売なら黒字倒産しないのでしょうか。

無在庫販売とは、商品が売れてから仕入れをするため、一見、在庫リスクがないように思われます。

 

では、次のようなケースではどうでしょうか。

 

 

月額利用料が生じる代行を利用した場合

【手持ちの現金】
1万円

【出金】
月額利用料として毎月1万円を代行業者へ支払う

【キャッシュフロー】
初月:0円(=1万円-1万円)
2か月目:?円(物販での利益-1万円)

初月は支払いができますが、2ヵ月目以降の現金は、物販で1万円以上の利益を残せない場合、代行業者へ支払うことができません。また、楽天市場のような月額利用料が毎月生じるモールに出品した場合も同様のことが当てはまります。

 

不具合品に伴う返金が生じた場合

【手持ちの現金】
0円

【出金】
不具合品に伴い3,000円を返金する

【キャッシュフロー】
▲3,000円(=0円-3,000円)

無在庫での商品代は実質エンドユーザーが負担しますが、不具合が生じた場合、貴店が負担することになります。もし、無在庫をはじめ、はじめての商品で不具合が生じ、現金の持ち合わせがない場合、返金することができません。

 

無在庫だから現金が不要というのは安易です。

在庫は有在庫に比べれば、先に商品代が発生しない分、少ない現金で運営できます。

というのが正しいです。

 

なお、無在庫で手持ちの現金を一切使わない運用をするなら、次の条件を満たす必要があります。

 

  1. 月額無料のモールへ出店する(BASEやメルカリ、ヤフオク!、ヤフショなど)
  2. 月額無料の代行業者を利用する(当社など)
  3. 不具合品を一切出さない信頼できる店舗を選択する
  4. 商品リサーチや商品登録などすべての業務を自前でやる

    上記4つの条件を完全に満たす運用は、難しいと思います。特に、3.です。商品の品質チェックは、自身が直接的にかかわれない部分ですし、店舗の信頼判断は玄人でも四苦八苦する部分です。また、どの代行業者でも日本到着以降の不具合は、原則返金しないものです。当社は、注文システムから不具合申請をいただければ、検品カメラでチェックを行いますが、当社に過失があった場合でも返金できるのは商品代のみです。米国のアマゾンで購入した商品で不具合があったときも、アマゾン社から返金されるのは商品代です。不具合品によるキャッシュとしての損失は貿易リスクの1つです。

     

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    結論:キャッシュフロー管理、大事です!

    まとめます。

     

    • 黒字倒産とは、利益はプラスなのだけれど、キャッシュがなくなったときに起こる倒産のこと
    • 黒字倒産となる原因の1つに、入金が出金よりも遅いことがある。
    • 黒字倒産を回避する方法もいくつかあり、特に大事なのは、社長が現金主義の考え方を持つこと。
    • 中国輸入の無在庫でも黒字倒産はあり得る。

     

    本日もお読みいただき、ありがとうございました^^

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